経営者なら使うべき『小規模企業共済等掛金控除』とは?計算方法と共に解説
高い税金を抑えるためには、あらゆる所得控除を駆使して節税を図る必要があります。
実はたくさんの種類がある所得控除の中でも、経営者や個人事業主にしか使えない『小規模企業共済等掛金控除』というものがあるのを知っていますか?
厚生年金のように会社員でないと受けられない社会保険料控除があるように、経営者や個人事業主にしか使えない控除もあります。
この小規模企業共済等掛金控除は単なる節税以外にも運用益が得られたり、低金利で借り入れができるといったメリットがあります。
それによって経営者や個人事業主の人たちの退職金作りに非常に有効です。
そこで今回は小規模企業共済等掛金控除について詳しく解説していきます。
また、退職金の準備としてよく使われる小規模共済と別の貯蓄方法でどちらが有利かのシミュレーションもしているので、しっかりと読んでおいてください。
経営者・個人事業主なら使うべき『小規模企業共済等掛金控除』
小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済や確定拠出年金などに支払う掛け金に対する所得控除です。
そもそも小規模企業共済は、経営者や個人事業主が掛け金を積み立てて、一定の納付期間が過ぎたら共済金を受け取ることができる制度になります。
控除金額は1年間に支払った掛け金の全額が対象なので、非常に大きなメリットです。この小規模企業共済等掛金控除を受けるには、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入することに加えて、掛け金の証明書を添付するか提示する必要があるので注意してください。
小規模企業共済のメリット3つ
ここからは小規模企業共済のメリットについて解説します。
小規模企業共済の主なメリットは次の3つです。
- 掛け金が全額所得控除になる
- 受け取り時にも税制優遇がある
- 低金利の貸付制度が使える
小規模企業共済を活用するにあたり、上記をしっかりと理解している必要がありますので解説していきます。
掛け金が全額所得控除になる
小規模企業共済に支払った掛け金は全額所得控除になります。
掛け金は1,000円~70,000円の中で500円刻みで設定可能です。また、加入後も掛金の増額や減額ができる点も魅力になります。
仮に小規模企業共済に30年間、月70,000円ずつ積み立てていった場合、積立金額は2,520万円にものぼります。
所得税率が10%の人であれば、節税額は252万円です。
このように非常に大きな金額を節税できる特長があります。
受け取り時にも税制優遇がある
積立時だけでなく、なんと共済金を受け取る時にも税制優遇が受けられます。
具体的な税制優遇は以下の通りです。
- 一括受取で、退職金控除が受けられる
- 分割受取で、公的年金としての雑所得に適用される
退職金控除は以下の計算表を基に控除額が求められます。
加入期間が20年を超えるか否かで、控除額が大きく違うので注意してください。
一方、分割受取を選択した場合、公的年金としての雑所得と扱われるので、一般的な雑所得とは違う計算方法を用います。
具体的には公的年金に係る雑所得以外の所得が1,000万円を超えるか否かで大きく変わるのですが、表が複雑になってしまうのでその所得が1,000万円以下である場合を記載します。
一般的な雑所得だと、所得金額がそのまま課税対象になってしまうので、少しでも控除が効くのは嬉しい点です。
低金利の貸付制度が使える
税制優遇ではないですが、小規模企業共済に加入していれば低金利で貸付制度が使えます。資金繰りに困っている時に使えるので、非常に便利です。
貸付制度には一般貸付制度や傷病災害時貸付け、事業承継貸付けなど様々な種類があります。
今回は一般貸付制度について詳しくお伝えします。
一般貸付制度であれば、基本的に掛け金の範囲内で10万円以上2,000万円(5万円単位)から借入れ額を決められます。
借入金額によって選択できる期間は異なるのですが、505万円以上の借り入れで最大60ヵ月まで借り入れ可能です。このような借入を金利年1.5%でしてもらえるので、非常に魅力的です。
小規模企業共済のデメリットも知っておこう
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