投資先が日本なのは資産運用では不適切な理由
前回の【40代からでも間に合う老後2000万円への資産形成の方法】では、老後に必要になる具体的な貯蓄から、金銭の出納簿の重要性、その収納簿の応じて2割を投資にまわすことで資産運用における資金を確保する術をお伝えしました。
ただ、実際にお金を銀行に預けているだけでは、ゼロ金利の現代でお金を上手に貯めているとは言い難い現実があります。収入の一部を預けるだけでは、継続した貯金でどれぐらい貯まるのか予測できるので、不安を覚えた人も多いでしょう。
しかし、単純に貯蓄を増やしながら2割を運用すると考えても、いきなり投資というのは初心者には難易度が高いと思います。そのためまずは、運用を行う前に知っておいてほしい最低限の資産運用する日本の現状を知ってもらいたいと思います。
投資先は株や不動産、投資信託にNISAなど様々ありますが、日本の現状でどういった投資先へ投資することが損をしずらいのか、リスクを把握するためにも知っておきましょう。
「貯蓄から投資へ」と思ったら、いきなり金融危機
「貯蓄から投資へ」が、盛んに言われるようになったのは、2000年代に入ってからです。
とくに小泉政権時代には、郵政民営化のような規制緩和が進むなか、ゼロ金利になったこともあり、「これからは貯金をしてもお金は増えない。」ということが世の中に浸透し始めました。
この時に、急に投資へ移行した人たちが買った物は「株や投資信託」ではないかと思います。時代の雰囲気とは恐ろしいもので、こういうときにたまたま短期的に儲かってしまった人の話が広まり、
などという話を聞いて、何も調べずに「ただ買うだけ」という人が多かったのではないかと思います。
こういった状態が続いていれば、日本でも個人投資家が増えていったことでしょう。
ですが、貯蓄一辺倒だった日本人がいきなり投資をしてもうまくいくわけはなく2008年のリーマンショックで、そんな投資ムードは一変し、時代は逆戻りしました。
リーマンショックの1年前は、世界全体の株式の時価総額は 63.5兆ドル(6350兆円)あったのに、リーマンショック後の 2008年10月 は 31兆ドル(3100兆円)と半分以下になってしまっていました。
- 「いったいどうなっているんだ?」
- 「投資なんか怖くてできない」
と思う方たちが急激に増えたことも事実でしょう。
以来、日本では「貯蓄から投資へ」という流れは、ほぼなくなってしまったと言っていいでしょう。
株式投資やFX、投資信託購入する証券口座からはお金が引き上げられ、郵便貯金や定期預金が増加し続けています。
金融教育の欠如が生んだ「貯蓄至上主義」日本の誤った常識の記事でも書きまいたが、郵貯を始めとする「現金・預金」の金額は2019年末で1900兆円を超え2000兆円に迫る勢いです。しかし、本当にこれでいいのでしょうか?
私の考えは、100%「ノー」です。
理由は後述しますが、現代のグローバル資本主義下では「貯蓄より投資のほうが、圧倒的ににお金を増やせる見込みがある方法」だからです。
景気がいいときだけ投資をして景気が悪くなったらしないというのは、合理的な行動ではなくむしろ不合理であるからです。
いまの日本人の弱気はバブル崩壊時と似ている
いまの日本人は、本当に「消極的」です。言葉を金融用語に替えれば、「弱気」そのものです。少なくとも、日本が経済成長していた30~40年前までは、日本人はこんなに内向的ではありませんでした。バブル経済に沸いていたころの日本人は、まさに「強気」そのものという感じで、積極的に国外に出ていました。当時はジャパンマネーが世界中を席捲していたのは皆さんもご存じの通りです。
ニューヨークのロックフェラーセンターもカリフォルニアの名門ゴルフ場のペブルビーチも、日本人が買っていたのです。日本企業も個人投資家も、国外に投資をし、国内で余った「円」が外に出て、世界中をぐるぐると回っていました。
ところが、バブルが弾けた1990年を境にして、日本人のメンタリティは180度変わり、いっきに「内向的」になり、海外に投資していたことなど忘れてしまったかのように、国内に閉じこもるようになりました。
世の中にはこれを「後遺症」だと言い続けている方がいらっしゃいますが、今後もこの後遺症を引きずり続けるのでしょうか?
そして、2008年のリーマンショック以降の世界同時不況。
これで、日本人はさらに弱気になってきました。私たちは人間ですので、時には弱気になることもありますがずっと弱気なままでいいのでしょうか?
本来の日本人が持っているメンタリティは強気な物だからです。
明治以来、アジアでは日本人がもっとも海外に目を向け、先進国として繁栄を築いてきたことを思い出してください。
- なぜ、海外に目を向けるべきなのか?
- なぜ、内向きではいけないのか?
その答えは、シンプルです。国内ではまったくお金が増えないからです。
現金で持っていても、銀行に預けても、また、株や債券などの金融商品に投資しても、増えません。
増えないだけならいいですが、目減りしたり、元本割れしてしまうような商品ばかりです。老後の生活を考えた時に、日本国内にお金を置いておくことは逆にリスクであることを理解してください。
昔は銀行にお金を預けるだけでよかった
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